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森ちゃんのブログ#8 「ヘンシーン」

#7に続き今回も卒業のピアノのお話です。
アポロA-5黒艶出し製番38XXX 栃木県A市の御実家より千葉県A市に引っ越すT様の昭和46年生産のピアノです。
この年TVでは仮面ライダーの放送がが始まり、藤岡弘さんがご活躍されていました。
藤岡さんは毎週「ヘンシン」しておられましたが、このピアノは初めてのヘンシンです。


 

当時のピアノの塗料として使われていたのは、「ラッカーエナメル」、「カシュー」がありました。このピアノも「カシュー」が使われておりました。「カシュー」は1948年頃カシューナッツから取れるカシューシェルオイルから日本で開発され、世界的に知られる日本の漆と非常に似通った成分でふっくら感、しっとり感、深み感など独特の感性を表現できました。その後1956年頃にはポリエステル系の塗料の開発が進みます。現在ピアノではポリエステル系の塗料がピアノ塗装の主流になりつつあります。塗るのはどんな塗料でも良いのかという問題は別に有るのですが。楽器に関しては、色々な意見があるのも事実です。塗料の性質(塗膜の厚さ・硬さ・柔軟性)が音に影響するのは、事実だと思います。


 

さて今回のA5は当初の塗料のカシューの劣化と傷が酷いのでポリエステル樹脂系の塗料で全塗装を行っています。
金属部品の研磨も行い錆・変色を完全に落とし、新品同様の仕上がりとなっています。
塗り替えるのは、一度従来の塗料を全て落し、下地の木地を整えたあと下地のサフェーサーを塗布・研削した後にポリエステル塗料を重ね塗りし、再び研削してバフを掛け艶を出します。
かなり手間の掛かる作業です。
大切にピアノをお使い頂きたいというのが我々生産者の思いです。音楽は人の心を豊にして、癒してくれます。
音楽の無い映画とかドラマなど考えられますか。


 

 


 

 


 

卒業といえば、仮面ライダーの放映が始まった頃は、私は70年安保闘争が終わり全共闘運動が下火になりつつあった時代に高校を卒業したことを思い出します。
その頃は、東大の入試中止とか、色々有った時代です。
皆さんも色々な思い出が、その時代時代に有るのではないですか。
たまには昔を振り返ってみるのもおつな物ですよ。

「ヘンシーン」 ―昭和46年石ノ森章太郎作「仮面ライダー」より―

2015.10.02